適当でも割と布は染まる話
前回(↑)糊・染料もろもろが余ったので30×30のパネルでも作ろうかと思い立った後の話です。
型は前回のものは大きすぎて使えないので適当な部分を写し取って型をまた彫りました。
※なんの参考にもならない内容です。むしろ悪い見本としてご覧ください。※
染めるのに今回使ったものはこちら↓
・木(その辺にあったちょうどよい長さ)
・釘(その辺にあったちょうどよい長さ)
・布(前回染めた布と同じ。昔に買った布なので名前は不明)
・型(ちょうどいいサイズがなかったので2枚をマスキングテープで貼りつけてます)
・押しピン(学校の掲示板によく使ってあるやつ)
・余った糊
・余った地入れ液
・余った染料(2種類)
・フィキサーテン
・水(適量)
今回の工程としては
ちょうどいい木枠を作る↓
布を木枠にいいかんじに張る↓
糊置きして糊が乾くまで放置↓
地入れを両面して乾くまで放置↓
染料で染めて乾くまで放置↓
フィキサーテンに浸して40分ほど放置↓
水で糊を取って、いい感じになるまで水にさらす↓
濡れた状態で木枠に張り直して乾くまで放置↓
染料で染めて乾くまで放置↓
フィキサーテンに浸して40分ほど放置↓
水で洗って、いい感じになるまで水にさらす↓
濡れた状態で木枠に張り直して乾くまで放置↓
木枠から取って完成
こう見ると、かなり放置する時間が多いですね。
木枠に張った布に型を置いているところです。布はいい感じに張っておきます。あんまりガンガンに引っ張ってしまうと染めあがりの形が崩れます。言い方難しい。
ちなみに染めたいサイズよりも少し余裕を持って木枠は作ると染めやすいです。今回、2枚同時に染めましたが右側の木枠は木のサイズがなくて小さくなってしまいました。ものすごく糊置きしにくかったです(悪い例)
このせいで型も小さくせざるを得ませんでした。型のあまり部分はもう少し余裕があった方が糊置きしやすいです(悪い例)
上の写真に写っている左側のパネルはこのくらいのサイズでした。とても糊置きしやすいサイズではあるのですが、余っている布部分が死ぬほどもったいないですね。作品に応じたちょうどいい木枠を作るのは難しいです。
この写真では既に糊置きが終わっています。がっつり失敗したのでこの辺くらいからものすごくやる気を失いました。
それというのも、30×30のパネルを作ろうとして型を彫っている間に糊にカビが生えました。カビは取り除いたのですが糊にかたまりができていたりなんやらかんやらがあって、下の布と型との間から糊が入りました。いくら防腐剤が入っているとはいえ、水を足しているのでカビが生えるようです。
しかし、失敗しても途中リタイアが許されないのが工芸。
型を外して、糊置きした状態を写真に撮ることさえ忘れていた程ショックだったようです。地入れまで終了しています。
地入れとは水にアルギン酸を溶かしたものです。きれいに布を染めるための下処理です(たぶん)
色々飛んで、1回目の染めは既に終わっています。この時点でめちゃくちゃ失敗しているので、頑張って失敗をごまかしているところです。青っぽい染料を入れているところは黄色く汚れてしまった白場です。染料にカビは生えていませんでしたが時間が経っているのでそれも関係してるかもしれないです。梅雨ってこわい。湿気おそろしい。
できました。
!?
30×30のパネルに一度してみたのですがあまりにも汚いのが目立ってしょうがなかったので
お弁当包みになりました。意外とおしゃれ。
ちなみに端は祭り縫いです。手作業!お陰で今肩こりひどいです。
失敗はしましたが、日常生活に取り入れるのが工芸。
洗濯機で洗って使って、どうなっていくのか実験も兼ねて包みにしました。
型は何回でも使えるので、また染めてパネルにしようかと思います。
まあ染めは汚いし、微妙ではありますが適当でも布は染められます。
でも今後カビの生えた糊は使わない。
奨励賞いただきました
交差点
60×82(㎝)
型染/ハンノールL染料
第66回延岡市美術展覧会
会期:2016.7/2(土)~7/15(金)【休館日:7/5(火) 7/12(火)】
会場:延岡総合文化センター展示室1・2【開館時間:AM9時~PM5時】
ただ今、展示中です。
先日、第66回延岡市美術展覧会にて奨励賞(延岡市医師会長賞)を頂きました。ワー!ヤッター!
二年ぶりの型染ということもあり、緊張で謎の湿疹が下絵途中で出始めたり計算間違えて作品サイズ間違えたり布が縮んだり色々とドラマが生まれましたが(私の中で)なんとか無事作り終えて尚且つ、賞まで頂けてうれしい限りです。ありがとうございました。
モチーフはここ数年取り組んでいる「いりこ(煮干し)」です。今まで、いりこの形の面白さ、おかしさ等見た目から思いついたものを主に表現していたのですが今回はそこから一歩踏み出したものを表現しようと思いました。
「自分」を表現することにしました。
最近、本当に色々な人に出会い、また年齢を重ねるごとに物事がよく見えるようになってきた気がします。
時には困ったり、悲しんだり。時にはとても楽しかったり、喜んだり、忘れられない体験ができたり。そんな今私の感じている現状をそのまま表現しました。いりこの一匹一匹が私であり私を取り巻く環境の誰か、何かです。
パネル作品なのですが、側面4センチも染めてパネルを覆っているので結構立体的に見えます。斜めからの角度がお気に入りです。
そして実は使った染料、糊等々が余ったのでこの型の一部分を使った30×30のパネルを作ろうと思っています。というか、ついこの前30×30用の型は彫り終えたので作ります。
その制作風景は今後なんとなくまとめようと思うので、お時間あればまた見てください。
私のその他の作品はコチラ↓
幕末大名夫人の知的好奇心
神崎直美 著
岩田書院
2016年2月刊
A5判・214頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-86602-953-5 C3021
2700円
日向国延岡藩主内藤政順の奥方充姫(充真院[じゅうしんいん]。寛政12年[1800]-明治13年[1880])に関する初めての人物伝。なお充姫は彦根藩主井伊直中の娘で、大老井伊直弼は異母弟にあたる。
本書では、充真院の著書のなかから 主として『色々見聞したる事を笑ひに書』『五十三次ねむりの合の手』を選び、その知的好奇心と人物像を明らかにした。
前者は、幕末から明治初期の江戸(東京)と延岡で見聞した日常雑記で、後者は、文久3年(1863)、充真院64歳、生まれ育った江戸を離れ、初めて領国に転居することになった時の旅日記である。両書とも、すぐれた文章力と巧みな挿絵とで、当時の生活を活写し、充真院の人物像もよくあらわれている。
第1章 人生の概要
井伊家での日々と婚家・内藤家/縁組の経緯/内藤家の奥方/老年期の日々
第2章 充真院の蔵書
奥方の蔵書/和歌/源氏物語/紀行文/外事への関心/井伊家に関する蔵書/装丁と蔵書印
第3章 生き物飼育
「色々見聞したる事を笑ひに書」の概要/鳥の飼育法/昆虫の飼育法/その他の飼育法
第4章 まじない・薬・怪異・生活の知恵
まじないによる治療法/薬用による治療法/まじないと迷信/怪異/その他の生活の知恵
第5章 紀行文と大旅行
「五十三次ねむりの合の手」の概要/旅の概要/注目される立場/充真院の体調
第6章 対人関係・食・名物
随行者との対人関係/庶民との出会い/食の楽しみ/名物への関心
第7章 風景・文学・信仰心
風景への感動/文学に親しむ/敬虔な信仰心
まとめ 充真院の関心と人物像
引用:岩田書院official(http://www.iwata-shoin.co.jp)
先日、刊行されました「幕末大名夫人の知的好奇心ー日向国延岡藩内藤充真院ー」の装幀をさせて頂きました。
以前、本のカバーイラストを作らせて頂いたことはあったのですが装幀は初めてでした。正直「装幀って何?」という段階からのスタートでしたが、私が延岡市で毎年あっている神崎先生の講演会に通っていたこともあり主人公である充真院さんに親しみを持っていたので割りとすんなりとイメージはできました。鎌倉の光明寺の内藤家墓所にもお参りに連れて行ってくださったので、より充真院さんが身近に思えていたところでした。
本の中に出てくる写真を使ったデザインで、ということは伺っていたのでじゃあ大好きな充真院さんの挿絵を使わない手はないな! ということで挿絵を使ってのデザインにしました。千代紙をイメージしました。カバーの紙も和紙のような質感のものを選ばせて頂きました。
初稿を全て読ませて頂いた後で装幀を始めたわけですが、講演会の中で聞いていた内容もあれば読んで初めて知ったことがあり人物像がより明確になりました。
なんだか読みながら、自分と同じところが見えてくるんです。ああ、こういうところは私も同じだなとか。わかるわかる、とか。
そして著作者の神崎先生が充真院さんにとても親しみを持っていらっしゃるのがよくわかります。
章が細かく分かれていて、読みやすいですよ!
ネット上で「幕末大名夫人の知的好奇心」で検索するとすぐに出てきます。